各種予防接種と抗体検査
1歳以上の定期・任意ワクチンを取り扱っています。事前にご予約ください。なお、抗体検査に関しては随時可能ですのでお問い合わせください。
当院では下記の予防接種をお受けいただけます。
※子宮頸がんワクチン、ポリオワクチン、ヒブ、プレベナー(小児肺炎球菌ワクチン)、三種混合および四種混合ワクチンは取り扱っておりません
疾患名 | 感染経路 | ワクチンの種類 | 接種回数 抗体獲得率 |
接種間隔 | 有効 期間 |
|
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2回 目 |
3回 目 |
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A型肝炎 | 経口感染 | 不活化 | 3回、ほぼ100% | 2~4W | 6~12W | 5年 |
B型肝炎 | 接触感染 | 不活化 | 3回、ほぼ70~90% | 4W | 6M | 5年 |
破傷風 | 傷口からの感染 | トキソイド | 3回、ほぼ100% | 3~8W | 12~18W | 5年 |
日本脳炎 | 蚊の媒介 | 不活化 | 2回、80~90% | 1~4W | (12M) | 4~5年 |
狂犬病 | 動物の咬傷 | 不活化 | 3回、ほぼ100% | 4W | 6~12M | 2年 |
麻疹 (はしか) |
飛沫感染 | 生ワクチン | 1回、95%以上 | (-) | (-) | ほぼ一生 |
風疹 | 飛沫感染 | 生ワクチン | 1回、95%以上 | (-) | (-) | 10年以上 |
MR (麻疹・風疹) |
MR | 麻疹・風疹混合ワクチン | ||||
ムンプス (おたふく) |
唾液・接触感染 | 生ワクチン | 1回、90%以上 | (-) | (-) | 数年 |
水痘 | 飛沫・接触感染 | 生ワクチン | 1回、95%以上 | (-) | (-) | 10年以上 |
A型肝炎ワクチン
西欧やオセアニア等は比較的すくないものの世界中に広く分布しています。特にアジア・アフリカ・中南米等にいかれる方は予防接種する事をおすすめします。
- A型肝炎の感染原因
- A型肝炎ウイルス(HAV)を原因とするウイルス感染です。
ウイルスに汚染された水・果物・野菜・貝類・氷などを生で食べることで感染します。また、性的接触による感染もあります。
- A型肝炎の症状
- ウイルスに感染した後、15~50日(平均28日)の潜伏期間をおいて、急な発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気や嘔吐が見られ、数日たつと黄疸がみられます。
症状が軽い場合もありますが、重症の場合、回復するまでに数週間から数ヶ月かかることもあります。
40歳以上では、感染した人の2%超が、また60歳以上では4%超の人が死亡するとされ、決して危険の低い疾患ではありません。一般に、小児が感染した場合、成人が感染した場合より軽症だといわれています。
- A型肝炎ワクチン接種方法
-
- ワクチンの種類
- 不活化ワクチン
- 抗体持続期間
- 5年(3回接種後)
このワクチンは1回だけでは効果がありません。出発までに最低2回は接種するようにして下さい。
2回接種で1~2年間効果が期待出来ますので一時帰国を利用して6ヶ月から遅くとも2年以内に3回目を接種するようにして下さい。
また、3回目までの接種済みであれば5年毎に1回追加接種すれば抗体を持続的に保持できます。
B型肝炎ワクチン
先進国では保有率が低いものの中国、東南アジア、南アフリカ諸国では保有率は高く世界中に広く分布しています。血液・体液等に接する機会がある人は予防接種することをおすすめ致します。
- B型肝炎の感染原因
- 保有者の血液や体液と接触したり輸血をうけた場合、無防備なセックス、消毒不十分な注射針や医療器具で感染します。
- B型肝炎の症状
- 感染して90日から150日の症状のない期間があった後、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(体が黄色くなること)がおこります。皮膚発疹や関節の痛みが生じることがあります。大人での死亡率は1%くらいです。一部の人で慢性化し、肝硬変になったり、癌化することがあります(死亡率は1%。6-10%の確率で慢性化して、肝硬変や肝臓ガンに移行する可能性があります。)
- B型肝炎ワクチン接種方法
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- ワクチンの種類
- 不活化ワクチン
- 接種方法
- 3回接種。初回、4週間後、6ヶ月後
- 抗体持続期間
- 5年
このワクチンは1回だけでは効果がありません。3回接種した場合に5年間抗体が持続します。但し、渡航まで時間がない方は最低2回まで接種していれば1~2年間効果が期待出来ますので一時帰国を利用して6ヶ月から遅くとも2年以内に3回目を接種するようにして下さい。
また、3回目までの接種済みであれば5年毎に1回追加接種すれば抗体を保持できます
※ 成人は免疫がつきにくい場合がありますので接種後に抗体検査をすることをおすすめします。
3回接種後にも抗体が獲得していない場合は、
① 4週後に追加ワクチンを行う
② 筋肉注射に変える
③ 倍量にする
などの対処を行います。
破傷風ワクチン
全世界に分布しています。全ての人におすすめ致します。
- 感染原因
- けがをしたときに傷口から破傷風菌が体の中に入ります。破傷風菌は、世界中の土のなかに存在します。特に、動物の糞便で汚染された土壌が危険です。
- 症状
- 感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれます。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡します。
- 接種方法
-
- ワクチンの種類
- トキソイド
- 接種方法
- 3回接種。初回、3週間後、1年後
- 抗体持続期間
- 10年
破傷風ワクチンは3種混合ワクチン(DPT:破傷風+ジフテリア+百日咳混合ワクチン)に含まれるので、12歳の時に受けていれば、20代前半位までは免疫がありますので、接種は不要です。それを過ぎたら、1回の追加接種で10年間有効な免疫がつきます。(最終接種から20年以上経過している人は2回以上の追加接種をお勧め致します)
※ 欧米では基礎にDPTワクチンを実施している場合追加ワクチンはTdap(成人用DPT)を選択する。
但し日本にはこのワクチンが無いためDPT混合ワクチンを0.2ml接種で代用している。これにより、ジフテリア・百日咳についても免疫獲得できる。
日本脳炎
予防接種法による小児への接種は一時中断されましたが、2009年6月に細胞培養ウイルスによる新しいワクチンが出来ています。農村地帯等に長期滞在される場合などお勧め致します。
- 感染原因
- 日本脳炎は蚊に媒介される病気で、東アジア、東南アジア、南アジアで流行しています。日本脳炎ウイルスを保有する蚊の刺咬によって感染します。
- 症状
- ウイルスを保有する蚊に刺されても多くの人は症状が出ません。感染した人のうち、100人から1,000人に1人の割合で発病するといわれています。通常6-16日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔気、嘔吐がみられます。次いで、意識障害、けいれん、異常行動、筋肉の硬直などが現れます。
重症例のうち50%が死亡するといわれ、生存者の30~50%に精神障害や運動障害などの後遺症が残るといわれています。
- 接種方法
-
- ワクチンの種類
- 不活化ワクチン
- 接種方法
- 3回接種。初回、1~4週間後、1年後
- 抗体持続期間
- 4~5年
既にに接種済みの場合は基本的に追加接種1回を行います。抗体を持続させるためには4・5年に1回追加接種する事をお勧め致します。
狂犬病
日本、英国、スカンジナビア半島の国々などの一部の地域を除いて世界中に存在します。特にインド・ネパール・東南アジア諸国・中南米諸国・アフリカ諸国へ旅行される方におすすめ致します。
- 感染原因
- ウイルスを持っている哺乳動物にかまれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることでうつります。狂犬病を発症すると治療方法がないので、ほぼ100%死亡します。
- 症状
- 感染して10日から数年の症状のない期間があった後、発熱、頭痛、全身倦怠や嘔吐などが起こります。ついで筋肉の緊張、幻覚、けいれん、ものを飲み込みづらいなどが起きます。さらに液体を飲もうとすると筋肉がけいれんするため、水を恐れるようになります(恐水症)。やがて昏睡状態となり、呼吸が麻痺し死亡します。
- 狂犬病のおそれのある動物にかまれたら、傷口を石鹸と水でよく洗い、消毒液で消毒します。決して傷口を口で吸いださないでください。ただちに(24時間以内)医療機関に受診し、狂犬病ワクチン接種・咬傷部位に抗狂犬病ウイルス免疫グロブリン(RIG)の接種を行います。
- 接種方法
-
- ワクチンの種類
- 不活化ワクチン
- 接種方法
- (暴露前)3回接種。初回、4週間後、1年後
(暴露後)6回接種。初回接種日を0日として、3、7、14、30、90日の計6回
- 抗体持続期間
- 1~2年
この暴露後接種は予防接種済みの人であっても追加接種が必要です。
麻疹
麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによって起こる病気(全身感染症)で日本を含めて世界中にある病菌です。日本では、定期予防接種に指定されていますので、対象年齢(生後12~24ヶ月)のうちに予防接種をしましょう。成人になってからも、任意で予防接種がうけられます。
- 感染原因
- 麻疹ウイルスの空気感染(飛沫感染)によっておこる病気です。麻疹に罹患した場合、特異的な治療法はありません。細菌などの二次感染の治療に抗菌薬を投与する場合があります。
- 症状
- 伝染力がつよく、発熱・咳・鼻水・めやに・発疹が主な症状です。
- 約10~12日の潜伏期の後、カタル症状(鼻水・咳。結膜充血・めやに等)と共に、3~4日間は38℃前後の熱が認められます。一度おさまりかけたと思うと再び39~40℃の高熱(4~5日間)と全身性の発疹がでてきます。 発疹が現れる前より、コプリック斑(周りが赤く中心が白い口腔粘膜にできる粘膜疹)が頬の内側に認めらその直後から発疹が認められます。発疹は、3~4日で色素沈着を残して消退します。 合併症として、気管支炎・肺炎・中耳炎・脳炎などがあります。
- 接種方法
-
- ワクチンの種類
- 生ワクチン
- 接種方法
- (定期接種)
1期…生後12ヶ月~24ヶ月(なるべく早期)
2期…小学校就学前の1年間(5歳以上7歳未満) - (任意予防接種)
1回接種 妊婦はワクチン接種を避ける
ワクチン接種後すくなくとも1ヶ月以内は妊娠しないように気をつける
周囲に感染者がでた場合、3~5日以内にワクチン接種をうけると感染防御ができる
- 抗体持続期間
- ほぼ一生
風疹
風疹は風疹ウイルスによって起こる病気(熱性発疹性感染症)で日本を含めて世界中にある病気です。
- 感染原因
- 風疹ウイルスの空気感染(飛沫感染)によって起こる病気です。発疹のでる2~3日前から発疹が出た後の5日間くらいまでは、感染力があると言われてますが麻疹や水痘にくらべるとやや弱いといえます。
- 症状
- 好発年齢は、集団生活に入る1~9歳頃。流行期には春先から初夏にかけて多くの患者発症がみられます。
潜伏期間は約2~3週間で主な症状として発熱・発疹・リンパ節腫脹などの症状が認められます。一般的には比較的症状がかるくすむことが多く、3~4日で治ることから「3日はしか」ともよばれています。 - 一度感染し治癒すると、大部分の人は終生免疫を獲得します。妊娠早期の女性が感染すると、胎児に先天性風疹症候群(先天性心疾患・難聴・白内症など)が起こる危険性が高いです。
- 接種方法
-
- ワクチンの種類
- 生ワクチン
- 接種方法
- (定期接種)
1期…生後12ヶ月~24ヶ月(なるべく早期)
2期…小学校就学前の1年間(5歳以上7歳未満) - (任意予防接種)
1回接種 妊婦はワクチン接種を避ける
ワクチン接種後すくなくとも1ヶ月以内は妊娠しないように気をつける
周囲に感染者がでた場合、3~5日以内にワクチン接種をうけると感染防御ができる
- 抗体持続期間
- 約10年
成人の方は追加接種しましょう
おたふくかぜ(ムンプス、流行性耳下腺炎)
おたふくかぜは、流行性耳下腺炎あるいはムンプスとも呼ばれるムンプスウイルスによって起こる病気(全身性感染症)です。日本を含め世界中にある病気で日本でも多くの方が感染しています。
- 感染原因
- おたふくウイルスの感染(唾液もしくは接触)によって起こります。2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、通常1~2週間で軽快します。最も多い合併症は髄膜炎であり、その他髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合があります。1回かかると生涯にもう1度かかることはありません。
- 症状
- 両方、あるいは片方の耳の下が痛くなり腫れてきます。通常48時間以内にピークを認めます。 接触、あるいは飛沫感染で伝搬しますが、その感染力はかなり強いのが特徴です。ただし、感染しても症状が現れない不顕性感染もかなりみられ、30~35%とされています。
鑑別を要するものとして、他のウイルス、コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなどによる耳下腺炎、(特発性)反復性耳下腺炎などがあります。
- 接種方法
-
- ワクチンの種類
- 生ワクチン
- 接種方法
- (任意予防接種) 1回(抗体獲得率90%以上)
※1回接種ではムンプスの予防効果は80%程度、2回接種ではムンプスの予防効果は90%程度と考えられています。
- ・1歳以上の未罹患者(3~6歳での発病が多いため、DPT1期、MR等を終了後、水痘を摂取し、3歳頃を目安に摂取することが勧められる。)
- ・成人の場合、幼児期に予防接種未接種の場合や未罹患の場合は予防接種をお勧めします。
- ・妊婦はワクチン接種を避ける
- ・ワクチン接種後すくなくとも1ヶ月以内は妊娠しないように気をつける
- ・周囲に感染者がでた場合、3~5日以内にワクチン接種を受けると感染防ができる
-
- 接種方法
- 1回
- 抗体持続期間
- 数年
成人の方は追加接種しましょう
水痘(水ぼうそう)
水痘は『みずぼうそう』とも言われ、水痘‐帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の初感染によって引き起こされる病気です。日本を含め世界中にある病気です。
- 感染原因
- 水痘-帯状疱疹ウイルスの飛沫・空気感染、痂皮化していない発疹や皮膚症状・帯状疱疹の人からの接触感染や飛沫感染によって起こります。水痘の潜伏期は10~21日。感染すると、感染後14日前後くらいに発疹がでるといわれています。
- 症状
- 発疹・発熱を主症状とします。発疹は紅斑から始まり、2~3日のうちに水泡・膿泡・痂皮と移行しますが、すべての段階の発疹が混在しているのが特徴です。発疹は体幹・顔面が多く・頭部や口腔内に粘膜疹がでることもあります。発熱の程度は38℃前後の熱が2~3日続きますが、まれに40℃を超えることもあり熱性けいれんを合併することがあります。
免疫不全状態の患者が罹患した場合、重症化するリスクがあり、妊娠初期(20週頃まで)では胎児に先天性水痘症候群、分娩直前・直後では新生児に先天性水痘のおそれがあります。
- 接種方法
-
- ワクチンの種類
- 生ワクチン
- 接種方法
- (任意予防接種) 1回(抗体獲得率90%以上)
※ワクチン接種後の水痘罹患率(ワクチン接種をしても感染すると水痘になる)は、約20%であるが、軽症のことが多いです。
- ・1歳以上の未罹患患者
- ・成人になってからも接種可能
- ・妊婦はワクチン接種を避ける
- ・ワクチン接種後2ヶ月(少なくとも1ヶ月)は妊娠しないように気をつける
- ・周囲に感染者がでた場合、3日以内にワクチン接種を受けると感染防ができる
-
- 抗体持続期間
- 10年以上